東京医科大学 循環器内科同門会

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ESC参加報告 冨山博史先生(S58年卒)/高橋孝通先生(H27年卒)2024.01.15

E S C参加報告

2023年8月23日〜8月28日に開催された欧州心臓病学会年次学術集会(ESC Congress 2023)に参加いたしましたのでご報告させていただきます。今年は日本から約11時間の旅路を経たアムステルダムで開催され、指導教授である冨山 博史教授、松本 知紗講師、中野 宏己助教と共に参加致しました。

最初に今回の発表についての報告です。動脈の硬さの亢進は心血管疾患発症のリスクとなることが知られています。そして、メタ解析では上腕測定収縮期血圧の上昇が動脈の硬さ亢進の主要な因子であることが報告されています。一方、最近の研究では、上腕収縮期血圧より左室近傍血圧(中心血圧)が心血管疾患予後と密接に関連することが報告されています。しかし、中心血圧の上昇が動脈の硬さ亢進の独立したリスクとなるかはいまだに明確となっていません。今回のESCでは日本人中年男性において中心血圧の上昇が、上腕測定収縮期血圧とは独立した動脈の硬さ亢進のリスクであることを発表致しました。昨年にバルセロナで開催されたESC Congress 2022での発表の反省を踏まえて質疑応答の入念な準備を致しました(お陰様で、質問には無難に答えることができました)。

印象に残ったセッションは、欧州では腎臓神経ディナベーションが保険診療で実施される予定ですが、メタ解析では降圧薬と比較すると降圧効果が小さく高血圧治療のfirst choiceにはならないのではないかと学会開催中に議論が行われていました。高血圧の最新治療として腎臓神経ディナベーションについて今後、更なる知見を深めたいと思いました。今回の学会参加での経験を踏まえて、日常診療に加えて、学術活動に今後も頑張る所存です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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