新年のご挨拶

新しい2025年を迎えて、循環器内科同門会の先生方も心機一転の上で、ご活躍されていることと存じ上げます。ただし、開業されて一般診療を担当されている先生方は、20年来のインフルエンザの爆発的流行への対応のために、ご苦労されていることと思います。しかも、一定数のコロナ感染者も紛れ込んでいますので、細かい配慮が必要な診療のためにお疲れではないでしょうか。体調に気を付けられてご活躍されますことをお祈りいたします。
さて、2025年は世界最強国家であるアメリカ合衆国の大統領にドナルド・トランプ氏が返り咲き、1月20日より新政府がスタートします。米国の政権交代がこれほど注目されるのは、偏にトランプ氏の独特のキャラクターと常識外れの政策にあります。ウクライナ戦争とガザ戦争の今後については予断を許しませんが、日本から見ると対岸の火事のように見ている人々も多いでしょう。しかし、経済面では日本も直接大きな影響を受けるでしょう。
既に、日本でもインフレーションが進み、特に、食料品は年々高騰して、コロナ明けを基準とすると50%もの上昇となっています。レタス・キャベツが400~500円というのは象徴的です。これに追い打ちをかけるようなトランプ新大統領の関税政策により、さらなるインフレの悪化が予想されます。そして、関税障壁で輸出不振となった企業から、政府に対する補助金のおねだりが目に浮かびます。その反動として、社会保障費、特に医療費の削減を求める経済界からの声が強まることでしょう。
以上のように考えてみますと、経営的側面あるいは家計収入面からは、医療業界にとって明るさが見えない2025年かもしれません。しかしながら、医学的側面からは新しい治療法が継続的に開発されて、国民の健康寿命の延伸が期待されます。特に、認知症の早期診断に有効なアミロイドPETや特異的治療薬レカネマブが昨年12月20日に保険適応となったことは、家庭内および施設での介護の最大要因である認知症を低減させる可能性があります。このような進歩発展がありますので、オールド・メディアやSNSの声に右顧左眄することなく、目の前の患者さんを良くしたいという医療人の真摯な研究努力に期待して、新しい年も前向きの気持ちで歩みたいと思います。
末筆となりましたが、新春とはいえ寒さの続く毎日ですので、先生方もご健康には配慮されて過ごされますようにお祈り申し上げます。
東京医科大学循環器内科同門会会長
東京医科大学名誉教授
近森大志郎