暑中お見舞い

この数年は夏の暑さが厳しくなるばかりです。今年は西日本で6月中に梅雨が明けて、東日本を含めて、嘗てない程の長い猛暑となりそうです。同門会の先生方におかれましても、熱中症対策を心掛けながら毎日のお仕事にご活躍されていることと思います。
さて、去る6月7日に循環器内科同門会の総会および懇親会がHyatt Regency Tokyoで開催されました。この第一報につきましては、小林医局長が同門会HPの新着情報に報告していますので、既にご覧になられた先生方もいらっしゃると思います。 特に、今回の総会で話題となったのは、循環器内科の若手育成について同門会がどのようにサポートできるかということです。
先生方もお気付きの通り、昨今の医師の働き方改革の影響により、「遣り甲斐」よりも「QOLと収入」を求めて進路を決める若手医師が増加する一方で、業務が忙しい診療科は忌避される傾向があるようです。このような環境にあっても、循環器内科に遣り甲斐を求めて入局する若手医師を増やすことが、牽いては同門会の発展に繋がると思います。このためには同門会の予算措置を含めての検討が必要であり、後日にはなりますが、総会の議事録等を一斉メールでお送りしたいと考えていますので宜しくお願いします。また、同門会の先生方と循環器内科分野のスタッフとの顔の見える交流を促進するためにも、このHPのさらなる活用を図りたいと考えています。
また、これまでも国際情勢の激変に触れてきましたが、協調よりも米国第一主義を標榜するトランプ氏の行動は止まることがありません。ところが、重要な関税交渉について日本政府は従来型のボトム・アップ式を取って、トランプ氏の上から目線の一言ひとことに右往左往しています。これに対して、イスラエルは彼を独裁者と看做して、彼を誘導するような情報を与えて、対イラン戦争に米国を上手く巻き込んでいます。前回も書きましたが、アメリカはこれまでのアメリカではありません。同盟国だからという希望的観測に基づいて重大事項に取り組むのではなく、現実を厳しく受け止めた上での綿密な戦略が必要でしょう。
これから訪れる戦後80年の節目においては、日本人として多くのことを振り返る必要があると思います。特に、なぜ国力からして無謀ともいえる米国との太平洋戦争に突入して、数百万人の若い日本人の命を犠牲にしたのか、という問い掛けは重要です。そして、多くの人々の証言を基にした戸部良一らよる『失敗の本質』や、読売新聞戦争責任検証委員会が編集した『戦争責任』等において明らかに示された、日本人特有の欠点を忘れてはいけないと思うのです。なぜならば、この欠点が修正されないままで、日本政府はトランプ・アメリカとの交渉に臨んでいるように見えるからです。このように歴史から学ぶことも大切ですので、夏休みの読書にはこれらの本を手に取ることもお薦めしたいと思います。
末筆となりましたが、暑さ厳しい折ではありますが先生方のご活躍をお祈り申し上げます。
東京医科大学循環器内科同門会会長
東京医科大学名誉教授
近森大志郎