季節のご挨拶
今年は秋分の日を過ぎてから、やっと2ヶ月に及ぶ猛暑も一段落となりました。この期間中、先生方におかれましては熱中症への対応などの多忙な日常診療で、少しお疲れを感じることもないでしょうか。
また、これまでも能登半島地震の災害および復興の遅れについて触れさせていただいておりましたが、9月中旬にはこの地方が記録的な豪雨に襲われるという事態に至りました。二度に及ぶ大きな災害が同じ地域に発生するということに対して、災害に苦しまれている方々には十分なお悔やみの言葉を述べることもできません。唯、県および新政府がもう少し力を注いで、加速的な復旧がなされることを祈るばかりです。
さて、6月からの医療改定により生活習慣病に対する養生計画を策定する必要が生じてきました。ここで対象となる生活習慣病とは高血圧・糖尿病・脂質異常症ですので、循環器領域の診療所への影響が大きいと考えます。私自身も2か所の診療所で対応していますが、診療への影響はかなりあると感じています。即ち、患者さんと十分に話し合えるメリットがある一方で、待ち時間は明らかに長くなります。このため、生活習慣を改善しようとする患者さんと、そうでない患者さんとの評価が大きく分かれています。さらに、書類の保管等の事務仕事も大変です。先生方の外来ではどのような状況となっているでしょうか? この同門会HPに先生方のご意見や、上手な対応策をお知らせ頂ければ幸いです。
上記のような日常診療の一つの施策についても、日本では医療のすべてが国によって決められる指令経済で動いています。12月からは従来の健康保険証の発行が停止となり、診療所もマイナンバー・カード対応機器を設置しなければなりません。本来は国民総番号制のマイナンバーと、任意で取得するマイナンバー・カードは切り離されていました。それにも拘らず、健康保険証を人質にしてカードを強制するのは民主政治としては疑問符が付くでしょう。その前に総選挙が実施されますので、国民とくに医療に関係する者としては国の政策に無関心ではいられないと考えています。僅かであっても一票は無駄にしたくはないのですが、欧米と比較して日本の投票率の低さには少し心配しています。
末筆となりましたが、短くなった秋を先生方が満喫されて、お元気で過ごされますようにお祈り申し上げます。
東京医科大学循環器内科同門会会長
東京医科大学名誉教授
近森大志郎