東京医科大学 循環器内科学分野

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副会長(主任教授)挨拶

副会長(主任教授)挨拶

 2023年4月1日付で循環器内科学分野主任教授を拝命いたしました。ひとえにご指導いただいた先生方や、日頃から支えてくれている教室のメンバーに厚く感謝申しあげます。当分野(旧:内科学教室第2講座)は、昭和19年に開設され、山科章元教授、近森大志郎前教授はじめ多くの先輩方によって作られてきた伝統と歴史ある教室です。6代目の主任教授として、本教室を主宰するにあたり、その重責にまさに身の引き締まる思いをしております。
 循環器内科における診断、治療の進歩には近年めざましいものがあり、これまで困難とされてきた難治性疾患や併存疾患のある高齢者などの複雑症例においても、その治療が可能になってきました。従来の経皮的冠動脈形成術(PCI)や末梢血管形成術(EVT)はもとより、心臓血管外科とのハートチームにより、TAVIやMitra Cripなどの構造的心疾患(Structure Heart Disease)に対するほとんどの治療も当科で可能となっています。
 慢性肺動脈血栓症に対するバルーン肺動脈形成術(BPA)、肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)といった肺血管に対する治療は当院の特徴であり、都内はもとより、地方の施設からもご紹介をいただいています。
 それら循環疾患における診断や治療方針の決定のため、心エコー、核医学検査、CT、MRIといった画像診断はますます重要になっています。
 また心不全治療では新たな薬物治療のエビデンスが次々と創出され、患者さんの予後が改善できるようになりました。治療後のリハビリテーションや予防医学、さらに地域の先生方と連携した包括ケアも心不全治療にとって非常に重要であり、当科も積極的に取り組んでおります。
 「断らない循環器救急」「循環器救急のラストホープ」を合い言葉に、CCUを中心に新宿区周辺の循環器救急を担っております。ECMO、IMPELLAといった機械的循環補助を使用する重症例も増えています。日夜努力してくれているスタッフには、本当に頭の下がる思いです。
 一方で、循環器疾患は夜間や休日を問わず緊急対応がしばしば必要であることから、「忙しい」「勤務時間が長い」というイメージがつきまとい、ここ数年内科の中では唯一全国的に後期研修医志望者が減っています。当科においても入局者は減少傾向です。自ら診断から治療までを完結させることができ、苦しんでいる患者さんが、瀕死の状態から、目の前でみるみる良くなっていくという循環器治療のダイナミズムを、学生や初期研修医に伝えることが重要だと思っています。
 私は長年、頻脈性不整脈のメカニズムの研究と治療方法開発に力を注いで参りました。全国の不整脈医を目指す若手医師の指導を行い、複雑なケースの手術やその指導を行ってきました。新たな不整脈治療デバイスも全国に先駆けて、当院で先行して治療が可能となることも多くなっています。
 これまでの経験をいかし、東京医大でしかできない最高水準の治療を、「人間愛に基づいて」、「患者さんとともに」、「安全」に行っていくことで、すべての教室員がやりがいをもって働くことができる教室を目指してまいります。日々の臨床の中で解決できない問題に対するトランスレーショナルな研究にも力を入れてきたいと思っております。
 今後も同門の諸先輩のご支援を賜りますようなにとぞよろしくお願い申しあげます。

東京医科大学 循環器内科学分野
里見 和浩

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